演習シナリオ
5 歳、避妊手術済みのメス、室内飼育の長毛種の猫
食欲不振や食欲低下が一定期間続くと、猫は異化状態に陥ります。1 脂肪組織が分解され、脂肪酸が放出されます。脂肪酸が肝臓に運ばれることにより、脂質の代謝経路のバランスが崩れ、幹細胞に中性脂肪が過剰に蓄積されます。幹細胞が腫脹して肝臓内の胆汁の流れが妨げられ、胆汁うっ滞が起こり、肝機能生障害に陥ります。1,3
肝リピドーシスは年齢に関係なく発症しますが、中年齢猫での発症が一般的です。肥満猫は、分解可能な脂肪の量や肥満猫によくあるインスリン抵抗性により、この疾患に罹りやすくなっています。1
この疾患の猫は、食欲不振や食欲低下に加えて脱水症状であることが多く、黄疸、嗜眠、嘔吐が見られる場合もあります。肝リピドーシスの治療には、集中的な栄養サポートの導入が不可欠です。
「肝リピドーシスの猫はほとんどが、この病気を克服するのに十分な量を自力では食べられません。そのため、猫の健康を安定させるには、栄養チューブの使用が最良の選択肢になります。この方法を怖いと思われるかもしれませんが、食道瘻チューブの留置は簡単な処置で、通常の猫なら十分に耐えられるものです。 猫ちゃんが帰宅できる状態になったら、食餌の準備方法、栄養チューブを使用した給餌方法、栄養チューブの手入れ方法をお教えします。安心して猫ちゃんをご家庭に連れて帰っていただけると思いますよ」