現在公表されているガイドライン1 では、猫アレルギーを管理する主な手段として家から猫を排除することが推奨されていますが、猫の飼い主たちは自分の猫を家族の一員だと考えているため、多くの場合、この提案に抵抗を示します。猫アレルギーを持つ猫の飼い主の多くは、猫を手放さなくても良い解決策を見つけるためなら、どのような苦労も惜しみません。
抗 Fel d 1 IgY 抗体を含む卵由来成分を配合した食事を与えられた猫は、唾液と毛の活性型 Fel d 1 のレベルが著しく低下しました2,3。この結果、最終的に環境中の活性型 Fel d 1 レベルが低下し、猫アレルギー患者の症状が緩和される可能性があります2-4。
独立した環境の個室を使用したクロスオーバー研究で、猫アレルゲンに感作されたヒトの参加者が、対照食または試験食(対照食に抗 Fel d 1 IgY 抗体を含む卵由来成分を加えたもの)のどちらかを与えられた猫の毛とフケに曝露されました。
試験食を与えられた猫の毛とフケに曝露された場合は、参加者の鼻症状スコアが著しく低下し、試験食を与えられていない猫の毛とフケに曝露された場合の症状と比べて、眼症状のいくつかが緩和したことが明らかとなりました3。
この新しいアプローチは、10 年以上にわたる研究の成果であり、猫アレルギーを持つ猫の飼い主に、愛猫と質の高い時間を過ごす機会を提供するものです。また、医療提供者も、猫アレルギー患者との対話を見直す機会が得られ、大切な猫を手放すという提案をすることで生じる精神的苦痛を感じることなく、積極的な対策に重点を置くことができます。
アレルゲン負荷とは、ある一定の時間内で環境に存在するアレルゲンの総量のことで、アレルゲン閾値とは、個人が許容できるアレルゲン負荷量を指します。原因となるアレルゲンの 1 つ以上に対する曝露を避けるか減らすことでアレルゲン負荷を軽減できれば、アレルゲンへの曝露の累積レベルが個人の閾値に達さず、アレルギー症状が改善されたり症状を予防できたりする場合があります4。
アレルゲン(アレルゲン C)を約 50% 減少させた場合の影響を視覚化して示しています。この例では、アレルゲン C を減少させると、累積アレルゲン負荷量が低下し、個人がアレルギー症状を起こす閾値に達することを防ぎます。
この論文では、猫アレルギーの有病率とその影響、Fel d 1 の分子生物学に関する情報が提供されています。また、抗 Fel d 1 IgY 抗体を活用して、猫が Fel d 1 を産生してからヒトが Fel d 1 に曝露するまでの間に、このアレルゲンを安全かつ効果的に中和するという、まったく新しいケアの道筋に関する科学的根拠も確認できます。
日本語の翻訳版のない英語の記事へのリンクです。
1.Dávila, I., Dominguez-Ortega, J., Navarro-Pulido, A., Alonso, A., Antolin-Amerigo, D., Gonzalez-Mancebo, E., Martin-Garcia, C., Nunez-Acevedo, B., Prior, N., …Torrecillas, M. (2018). Consensus document on dog and cat allergy. Allergy, 73(6), 1206-1222. doi: 10.1111/all.13391
2. Satyaraj, E., Li, Q., Sun, P. & Sherrill, S. Anti-Fel d 1 immunoglobulin Y antibody-containing egg ingredient lowers allergen levels in cat saliva. Submitted, Journal of Feline Medicine and Surgery.
3. Satyaraj, E., Gardner, C., Filipi, I., Cramer, K. & Sherrill, S. (2019). Reduction of active Fel d 1 from cats using an antiFel d 1 egg IgY antibody. Immunity, Inflammation & Disease. Advance online publication. doi: 10.1002/iid3.244
4. Wedner, H.J., Mantia, T., Satyaraj, E., Gardner, C., Al-Hammadi, N. & Sherrill, S. Feeding cats egg product with anti-Fel d 1 antibodies decreases environmental Fel d 1 and allergic response. Manuscript in preparation.