5 歳、避妊手術済みのメス、室内飼育の長毛種の猫
膵疾患
猫における膵炎の正確な発症率は不明であるものの、現在では、猫の膵臓外分泌部によく見られる、臨床的に重要な炎症性疾患として認識されています。
膵炎は、急性型と慢性型に分けられますが、他の疾患のように時間の経過に基づくのではなく、組織学的に分類されます。1─3 いずれの型も、症状は軽度から重度にわたります。しかし、猫において急性膵炎よりも多く見られる慢性膵炎は、2 通常急性膵炎がより重症化するのと比べて、軽症になる傾向があります。4
猫の膵炎に関連する臨床症状は、曖昧かつ非特異的であり、多くの場合捉えにくいものです。3,5 最も一般的な臨床症状や身体検査所見としては、膵炎の型にかかわらず、嗜眠、食欲不振または無食欲、脱水、体重減少があります。その他の臨床症状や所見としては、嘔吐、低体温、下痢、腹痛、粘膜の蒼白、黄疸などがあります。3,5─7糖尿病、慢性腸炎、肝リピドーシス、胆管炎など、1 つ以上の疾患を併発する可能性があるため、臨床症状は複雑になる場合があります。4,6,7
一般的に、膵炎の猫の管理は、症状のコントロールを目的とする支持療法になります。中等症から重症の猫は、食欲不振と肝リピドーシスの発症リスクがあるため、通常、集中的な医療管理と栄養サポートを行うために入院する必要があります。軽症の猫の多くは、外来受診により、食餌療法と内科的治療による管理で対応できます。
「ここ[数字]日間、ねこちゃんが食べていないので心配しています。ねこちゃんの脱水や体重減少も心配です。こうした徴候は、膵炎など、いくつかの疾患に関連している可能性があります。そこで、何が起こっているのかをより詳しく把握するために、この病院で血液検査、尿検査、X 線撮影を行うことをお勧めします。その所見に基づいて、制吐剤や食欲増進剤の投与、静脈内輸液など、次のステップを決定することができます」