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治療のための栄養

栄養の影響を受けやすい健康状態の犬・猫のニーズに関する有用な情報。

筋骨格障害

整形外科的傷害からの回復

ペットは、外傷、遊び、スポーツ、仕事が原因で、骨折や前十字靭帯断裂などの整形外科的傷害を負うことがあります。多面的な管理計画の一環として、目標を定めた栄養管理を活用することにより、整形外科的傷害からの回復を改善できます。最適な治癒をサポートするために、回復過程における栄養ニーズを継続的に評価する必要があります。

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キーメッセージ


  • 重要な栄養素を含む食餌は、整形外科的傷害からの回復をサポートします。1
    • オメガ 3 系脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)には抗炎症作用があります。
    • タンパク質量を増やすことで、筋力と回復をサポートできる場合があります。局所的な廃用性筋萎縮や脱神経性筋萎縮を防ぐため、回復期間中は傷害を負った手足の筋状態をモニタリングする必要があります。
    • その他の重要な栄養素には、軟骨の構成要素であり、軟骨と関節の健康をサポートするグルコサミン、酸化ストレスとそれに伴う組織の損傷の軽減が期待されるビタミン E などの抗酸化物質などがあります。
      • Purina が資金提供した研究では、EPA、DHA、タンパク質、抗酸化物質、グルコサミンの量を増やした療法食を単独で、またはリハビリテーションと組み合わせて犬に与えたところ、跛行に関するいくつかの測定値が改善し、前十字靭帯断裂の外科的修復後における体重負荷の早期回復につながったことが明らかになりました。2
      • 十字靭帯損傷やその他の整形外科的傷害は、多くの場合変形性関節症のリスクを高め、進行を速めます。上記の研究において、療法食やリハビリテーションは、進行の遅延を示す、変形性関節症の X 線写真スコアの改善と関連性があることがわかりました。最も効果が高かったのは、食餌療法とリハビリテーションを組み合わせた場合でした。3
  • 整形外科的傷害からの回復期にあるペットは、やせ型の体型を維持することが重要です。過体重も低体重も避ける必要があります。
    • ただし、自動車事故などの重大な外傷から回復中のペットについては、ボディコンディションスコアに関係なく、必ず回復期に十分な栄養を摂取させる必要があります。栄養チューブやその他の栄養サポートが必要になることがあります。
    • 整形外科的傷害を負っていても、それ以外は健康な過体重または肥満のペットについては、減量により骨格系にかかる余分な機械的ストレスが軽減されます。 
      • 過体重のペット(ボディコンディションスコアが 6 または 7)の場合は、適度な脂肪分を含む関節可動性回復用療法食を与え、徐々に体重を減らすようにします。
      • 肥満のペット(ボディコンディションスコアが 8 または 9)の場合は、脂肪量をさらに制限した減量食を与えます。減量達成後は、体重維持のために関節可動性回復用療法食に移行します。
    • 肥満は跛行を悪化させるため、肥満のペットが減量を達成するまでは、選択的整形外科手術を延期することを検討します。手術後の身体的リハビリテーションは、減量達成後のほうが忍容性が高くなります。
    • 激しいリハビリテーションプログラムを行うペットや食欲不振のペットについては、体重減少を防ぐためにエネルギー密度の高い食餌を与えます。回復期に活動量が少ないペットの場合は、体重増加を防ぐために低カロリーの食餌を与えます。
会話の手始めの背景画像

「オメガ 3 脂肪酸やグルコサミンなどの栄養素を供給する特別食を与えることで、筋骨格の健康をサポートし、回復のチャンスを最適な状態にととのえてあげることができます」

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参考文献

  1. Raditic, D. M., & Bartges, J. W. (2014).The role of chondroprotectants, nutraceuticals, and nutrition in rehabilitation.In D. L. Millis & D. Levine (Eds.), Canine rehabilitation and physical therapy (2nd ed., pp. 254–276).Saunders. doi:10.1016/B978-1-4377-0309-2.00015-6
  2. Baltzer, W. I., Smith-Ostrin, S., Warnock, J. J., & Ruaux, C. G. (2018). Evaluation of the clinical effects of diet and physical rehabilitation in dogs following tibial plateau leveling osteotomy. Journal of the American Veterinary Medical Association, 252(6), 686–700. doi: 10.2460/javma.252.6.686
  3. Verpaalen, V. D., Baltzer, W. I., Smith-Ostrin, S., Warnock, J. J., Stang, B., & Ruaux, C. G. (2018). Assessment of the effects of diet and physical rehabilitation on radiographic findings and markers of synovial inflammation in dogs following tibial plateau leveling osteotomy. Journal of the American Veterinary Medical Association, 252(6), 701–709. doi: 10.2460/javma.252.6.701